社葬取扱規定は、企業の諸規定として常備するものではありません。しかし企業にとって重要人物の逝去は経営上のひとつの危機でもあります。社葬は故人を偲ぶ場であるだけでなく、社内外に新体制の披露と新たな方向性を示す大切な機会でもあるのです。社葬を行うべきかどうかの判断、あるいはどのようなレベルの社葬を行うか、費用のこと、日程や式場など、決定すべきことがたくさんあります。訃報を受けてからの限られた時間内で慌ただしく決めていくよりも社葬取扱規定としてあらかじめ企業内で規定化しておくほうが、いざというときにスムーズに対処できます。以下に社葬取扱規定(例)を掲載いたします。よろしければご参照ください。
社葬取扱規定(例)
こちらの社葬取扱規定はあくまでも一例です。業界や企業の事情により、手直しされることをおすすめします。
■原稿例
株式会社●●●●
社葬取扱規定
- [総則]
- 第1条
社業に功労のあった取締役、元取締役もしくは社員が死亡したとき、本規定の定めるところにより社葬を行う。 - [定義]
- 第2条
この規定の対象となる葬儀は次の通りとする。- (1)当社が主催して執り行う葬儀
- (2)喪家と当社が合同主催で執り行う合同葬
- (3)喪家が主催する葬儀で、会社が一定の費用を負担して執り行う準社葬
- [決定]
- 第3条
社葬の実施は取締役会で決定する。
但し、遺族より辞退の意思表示がなされた場合、社葬は実施しない。 - [名称]
- 第4条
前条により執行される葬儀を『株式会社●●●●社葬』と称する。 - [実施基準]
- 第5条
社葬は次の各号に該当する者が死亡したときにこれを実施する。- (1)現職の会長、社長、相談役
- (2)退任5年以内の会長、社長、相談役
- (3)退任5年以上の会長、社長、相談役
- (4)現職の副社長、専務取締役、常務取締役
- (5)殉職した者
- (6)前各号のほか、特に社業に功労のあった取締役もしくは取締役のうち取締役会で承認された者
- [費用範囲]
- 第6条
前条各号の社葬費用の範囲は次の通りとする。但し、費用の金額は本規定では規定しない。- (1)前条1号、2号、5号の場合
死亡時から社葬終了時までの費用のうち、戒名料、火葬にかかわる費用を除いた金額 - (2)前条3号、4号の場合
死亡時から社葬終了時までの費用のうち、戒名料、お布施、火葬にかかわる費用を除いた金額
- (1)前条1号、2号、5号の場合
- [宗旨]
- 第7条
社葬は該当する死亡者の宗旨に従って行うことを原則とする。
但し、遺族の合意があれば宗旨をかえて実施することができる。 - [葬儀委員長および葬儀委員]
- 第8条
特別の場合を除き、代表取締役会長または代表取締役社長は社葬執行の葬儀委員長となり社葬全般を統括する。
その他の取締役およびそれに準ずる者は葬儀委員を担当する。 - [葬儀実行委員長および葬儀実行委員]
- 第9条
葬儀委員長は葬儀実行委員長を選任する。
葬儀実行委員長は社葬の円滑なる遂行を図るための企画、運営の直接の責を負う。
葬儀実行委員は葬儀実行委員長が選任する。 - [広告]
- 第10条
社葬を実施する場合、必要な新聞に広告を掲載することができる。 - [香典・供花]
- 第11条
第2条1号による社葬については、原則として香典、供花は辞退する。
合同葬については別に定める。 - [その他の事項]
- 第12条
本規定に定めない事項については取締役会において協議のうえ決定する。 - [改正]
- 第13条
この規定は、取締役会の決定により改廃できる。 - [施行期日]
- 第14条
この規定は平成●●年●月●日より実施する。